永字八法(えいじはっぽう)とは、「永」の字には、書に必要な8種の技法すべてが含まれているという意味。下の『永』は、書聖・王羲之の最高傑作といわれる『蘭亭叙』(紹興にある蘭亭で催された宴の際に詠まれた詩集の序文)の最初の一文字。ちなみに、王羲之が『蘭亭叙』を書いたのは、今から1700年前のこと。

八法は、側(ソク、点)、勒(ロク、横画)、努(ド、縦画)、趯(テキ、はね)、策(サク、右上がりの横画)、掠(リャク、左はらい)、啄(タク、短い左はらい)、磔(タク、右はらい)の8つ。
この書はなぜ凄いのでしょう?それは、書の中の「永」に、現在にまで連なる書の歴史のすべて、言い換えれば書の原郷となる漢字の基準があるからです。王羲之の書きぶりの中に書の普遍性が宿っているからであり、王羲之が確立したこのトンと起筆しスーッと筆を抜く二折法の中に、毛筆における最も自然な書法があるからなのです。
「和楽」のサイトより(2016.12.14)